中山牝馬Sでのアサヒライジングの斤量について
G1馬のキストゥヘヴンを始めとして重賞勝ち馬が何頭もいるのに、
重賞未勝利のアサヒライジングがトップハンデとは理不尽だと思いますがどうでしょうか?
ハンデキャッパーは何を基準にハンデを決めているのでしょう・・・。
重賞勝利などで斤量を変えるのであればハンデ戦の意味がありません。もし、重賞や賞金で斤量分けをするのであれば、GI勝で3kg増、xxxx万ごとに1kg増と表記します。
ハンデキャップ競走の意味は、出走するメンバーの実力を均等にする目的で、それぞれの斤量を定める事にあります。必ずしもGIII勝ち馬より、重賞未勝利馬よりも強いとは限りません。例えば、
アイウエオ という馬は
クイーンCに勝利
通産10戦2勝 2着1回 3着1回 着外6回
カキクケコ という馬は
桜花賞2着、優駿牝馬2着、秋華賞2着、エリザベス女王杯2着、有馬記念3着など
通産10戦1勝 2着7回 3着2回 着外なし ※重賞未勝利
一般的に考えれば、後者の方が強いと感じるはずです。アサヒライジングも似たようなケースで、GIで常に入着しては好走を繰り返し、いつ勝利しても不自然ではないパフォーマンスをしてきました。残念な事にカワカミプリンセスという強い馬がいたため取り損ねてしまった重賞もあります。
それだけ、カワカミプリセスという馬の実力が評価されたと言う事です。キストゥヘヴンは桜花賞勝ちこそあるものの、多くは凡走の繰り返しで見せ場もない競馬さえあります。
競馬での「優勝/1着/勝利/勝ち」は確かに特質すべき点です。最高の結果が勝ちで、上を求めればオマケで記録が着いてきたりすることもあります。ですが、その「1着」になれるのは限られた馬しかなれません。言ってしまえば1着以外は「負け」です。が、競馬において、
安定した結果を残し、常に掲示板に名を連ねる馬
と
偶然爆走して重賞(GI)のタイトルを取ってしまった馬
10戦して8回2着~5着に入れる馬と、10戦して1勝するも入着はそれだけの馬。断然前者の方が強いと思えます。例えば前年のドリームパスポート、GIこそ勝てなかったもののメイショウサムソンと比べても劣らないほどの支持と評価を受けています。確実性の高い馬は必ず結果がついてきます。
10戦して5回入着できれば非常に優秀だと言えます。その中で勝ちを増やせる馬は特殊な存在です。残念な事にハンデキャップ競走ではGIタイトルや重賞タイトルよりも「総合的な成績」を重視されます。もし、国際レーティングで105程度しかもらえなかったGI競走で競って勝ったとしても、120を得たレースで好走した馬の方がレベルの高い競馬をしています。重賞のレベルが全て均一であれば理不尽だと思いますが、重賞の中にはレベルの低い競馬で勝った馬もいたりします。
思い直せば今年初めのガーネットSでも似たような事がありました。重賞未勝利ながらも11連対中のジョイフルハートと重賞4勝を含めた短距離巧馬のリミットレスビッドの斤量が全く同じでした。結果としてジョイフルハートは大敗してしまって斤量が重すぎたと言う見方もありますが、ハンデキャッパーはこれが同等だと判断しての決定なので、致し方なしでしょう。
確かに重賞未勝利馬がGI馬よりも重い斤量を背負わされるのは不可解だと思います。自分も「あ~こうなったんか」と半ば納得のいかない気持ちです。ですが、
牝馬重賞常連のウイングレットはGIで大敗し、結果はGIII戦のみ。キストゥヘヴンは昨春こそ桜花賞でアッと言わせたものの、秋ではステップ以外で見せ場も無い内容。サンレイジャスパーは着実に力を付けてはいるものの、結果はやはりGIIIまでのもの。マイネサマンサは実績が古いのでちょっと重すぎかな?と思います。レクレドールもこれまた同じく実績はGIIIまでのもの。今回出走するメンバーの多くが参戦した昨年のエリザベス女王杯で唯一、見せ場を作って掲示板に名を載せたのがアサヒライジングです。他馬は完全に力負けしか言えませんでした。カワカミプリンセスの追い込みが強烈で、さらに降着という騒然となった結果ですが、一応エリザベス女王杯は牝馬限定で力関係を露にしますので、あながちこのアサヒライジングのハンデに関しても納得は出来ます。12戦3勝(OP勝) 2着3回(GI2着2回) 掲示板を外したのが菜の花賞のみ。すばらしい内容です。
以前に回答した私のものを転記します。参考にしてみてください。
JRAのハンデ戦のハンデを決めるハンデキャッパーの手元には、該当馬の全てのデータが揃っています。そしてパトロールフィルムも全て見れます。つまり馬場の有利不利、通ったコースの有利不利、全てのデータがハンデキャッパーの手元にあります。そしてレース担当の3人が月曜日に出走予定馬に対して自分の決めたハンデを持ち寄り、3人で会議を開き、全員一致を前提にハンデが決まります。基準はあくまで、全馬横一線でゴールです。
ひじょうに機密性が高く、正確性が要求され、なおかつデータの漏洩があってはならないので、ハンデキャッパーの立場はよほどのことがない限りオープンにはなりません。詳しいことはメディアポートから出版されている「ケイバノシゴト」という本をご覧ください。
最後に少し話を飛躍させます。ハンデ戦でゴール前ひじょうに際どいハナ差の勝負になったとしましょう。我々馬券を買う立場の人間は「大丈夫かな、差されていないかな、粘ったかな、差したかな、届いたかな」などとハラハラドキドキして写真判定の結果を待つことになるでしょう。しかしそんなときハンデキャッパーは「自分たちのつけたハンデに間違いはなかった。うん、ひじょうに見事なハンデであった。」と充実感や達成感に満ちています。もしかすると喜んでいるかもしれません。これが現実です。
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